設営28日目
うちには何台かバイクがあり、その殆どが少々古めであるため、自分で整備する事が多い。こうした経緯から、妻がママ友が所有するバイクの整備を引き受けて来た。
もちろん、趣味の範囲で行っている事だからお金をとるつもりは無かったが、車両を預かって来てから聞いた話の限りだと、嫌な予感しかしなかった。
なんと、エンジンがかからなくなってから5年以上放置されていたというのだ・・・・
バリオス2
預かって来た車両はバリオス2という250ccのバイクだ。
確か、私が大学生だった頃に流行っていたものだから、かれこれ20年以上前に全盛期を迎えていたものになる。もちろん車両はソレより後のものになるだろうが、それでも十数年前の車両だが、今は貴重となった250cc4気筒の車両であるため、未だに人気がたかかったりもする。
年式、及び放置されていた割には、外観は綺麗だった。
しかし、1年以上放置された車両というのは、タンク内に錆が発生し、キャブ(キャブレター)が詰まり、ガソリンが腐っているというのが定番だ。
4気筒車両のキャブのオーバーホールというのは非常に面倒でやりたくないというのが正直なところ。
状態にもよるが、5年間放置して不動になっている車両を乗れるまで整備するとなると、安く見積もっても20万円程度は請求されるため、
“動くバイクを買った方が安い”
と言われるのが一般的であろう。
タンクを開ける
車両と一緒にキーも預かったので、一応、メインの鍵穴にキーを挿して回し、セルボタンを押してみたが・・・・当然ながらウンともスンとも言わない。
スンってなんだ?
ウンの意味もわからないから気にするな!
諦めてタンクの鍵穴にキーを挿してタンクのフタを開けようとしたが・・・
鍵が回らない((+_+))
長年放置していたために、ロックのスライド部分が固着してしまっており、鍵が回らなくなってしまっていたのだ。
嫌な予感が確信へと変わった瞬間である。
めんどくせぇから鍵穴なんかぶっ壊しちまえばいいじゃねぇか!
ダメだよ、預かりものなんだから。
CRC(いわゆるクレ556)を鍵穴にぶっかけて徐々に鍵の稼働範囲を広げてなんとかタンクのフタを開けた。
なお、ゴミやほこりが付着する要因になるため、本来は鍵穴にCRCをかけるのは避けた方が良い。
良い子はマネしないようにな!
まるで俺が悪い子みたいじゃないか!
少なくとも良い子じゃない事は確かだろ?
( ゚Д゚)
フタを開けた給油口からタンクをのぞき込むと・・・
思っていたよりも錆は少ないようにも見えたが、タンクの底に見えた錆は厚みがあり、盛り上がっていた。
こうした盛り上がった錆というのは、錆が下地まで到達している状態である。
このため、ヒドイ場合にはタンク裏側まで錆が到達してしまっている状態の可能性もある。
タンクに穴が開いてしまっていた場合には、溶接やパテ埋めなどの処理が必要となり、結構面倒なこととなる。
もうそなったら捨てちゃえばいいよな!
だから、ダメなんだって!
ちなみに、この時点でタンク内のサビ取り作業が必要になった事は確定した。
ガソリンを抜く
タンク内のサビ取り、錆防止処理を施すには、タンク内に溜まっている古いガソリンを抜かなくてはならない。
このため車両からタンクを取り外し、軽くシャッフルしてガソリンを抜き取る。
ただガソリンをタンクから抜いただけにも関わらず、タンク内からはコレだけのサビが出て来た!
まるで泥水だな!
出て来た錆の多さから、給油口から見た状態よりも実際はかなり酷い状態である事が予測できた。
ちなみに抜き取ったガソリンは、古くなり変なニオイがしていて、いわゆる腐った状態であったため、錆を取り除いた上澄み部分だけをガソリンスタンドに持っていき、引き取ってもらった(引き取り料金は10L程度で500円だった)。
タンク内のサビ取り、防錆処理を施すにあたっては、タンクの付属部品を全て取り除く事が望ましい。このため、ガソリンコックや燃料センサー、フタなど、外せるものは全て外した。
ガソリンコックは、本来右側の状態であるはずなのに、ガソリンを流すためのノズルが錆で埋まっていると共に、長い方のノズルは無くなっていて、タンクからも出て来なかった( ゚Д゚)
また、燃料センサーは、本来上下するはずのフロートが固着しており、その機能を果たせない状態となっていた( ゚Д゚)
タンク内のサビ取り、防錆処理は、タンク内に液体を充填させるため、ガソリンコックや燃料センサーを取り外す事によって、現れるタンク底側の穴は、塞いでおかなければならない。
今回は、アサヒペンのパワーテープを使って穴を塞いでみた。
なぜこのテープ使用したかというと、耐水性、粘着性が良好であるという噂を聞いていたからである。実際、水回りの配管補修などにも使う事ができるらしい。
もっともらしい事言ってるけど、ただ単に良さげなテープが手元にあったからだろ!?
金属のタンク内のサビ取りを安く済ませたい場合には、トイレ掃除などに用いられる酸性の洗浄剤(サンポール)などを使う事もできる。
酸で錆を浮かせて除去するという方法である。
しかしこの方法は、タンク内面全体を酸化しやすい状態にしてしまうため、サビ取り後に適切な処理を施さないと、すぐに錆が復活してしまうというデメリットがある。
また、液体が酸性であるため、液がタンク表面に付着した場合には、塗装を痛めたり、はがれてしまったりといった危険性がある。
この車両は自分のものではないため、リスクを冒してまで実験的なことはやりたくない。このため今回は、市販のサビ取り剤を使用することにした。
使用した製品は、AZ社のバイク用燃料タンククリーナー1Lである。
使用方法は、概ね次の通りである。
1:サビ取り剤の原液を20倍位に薄める。
この時、薄めた液が50度位の温度となるように、
お湯で薄めるようにする。
50度のお湯を20Lも沸かすのは大変なので、
鍋で数リットルの水を沸騰させ、
それに加水して量を増やすようにすると良い。
2:薄めた錆取り剤をタンクに流し込む。
この時、薄めた錆取り剤を1L程度残すようにする。
3:給油口の縁まで錆取り剤を注入した後、1~24時間放置する。
放置時間は、錆の度合いによる。
今回は錆が多めだったため、24時間放置してみた。
水分の蒸発を防ぐように、
給油口にラップなどでフタをしてやると良いであろう。
4:所定時間放置した後、タンクに溜めた錆取り剤を捨てる。
5:サビ取り剤を捨てた後、(2)で残しておいたサビ取り剤を
タンクに入れてタンク内面になじませるようにして、
タンク内の洗浄とコーティングを行う。
6:後から入れた洗浄剤も捨てて、タンクが乾くのを待つ。
鍋でお湯わかしたりするところは、整備というより料理だな!
適切な処理を行うと、タンクの赤さびは黒サビに変化して、それ以上の腐食が進まなくなる。
給油口から見えた厚みのある錆も取れ、その部分の残った錆も黒サビへと変化していた。幸い、タンクの底に穴も開いていなかった。
今回使用したAZ社製のサビ取り剤は、タンク内のサビ取り剤として有名な榮技研の花咲かGという商品の半額以下でしたが、効果としては満足いくものでした。
安く、安全にバイク内のサビ取りを実施したいという方は、試してみてはいかがでしょうか?
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次回は、タンク編2(燃料センサー再生)を予定しています。
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